この池は奥田の蓮池(弁天池)と呼ばれています。役の行者の母・刀良売が、 ある夏の朝、この池の中にある捨篠神社にお参りしたときひとつの茎から二 つの白蓮が咲き、その上に金色の蛙が唄っていました。彼女はたわむれに 岸の萱をぬいて投げますと、それがまともにその蛙の目に刺さり、とたんにあ たりが暗くなり蛙は水中へ白蓮も消え失せ、こんど浮かんで来た時、蛙は一 つ目の顔になっていました。以来、この池の蛙はみな一つ目蛙だと言い伝え られています。 毎年七月七日のここの「蓮切り」や、吉野蔵王堂の「蛙飛び」行事は この一つ目蛙の伝説にかかわりをもつようです。 |